響けぼくの歌

NHKのドキュメンタリー。自己流で歌とピアノを使いこなす全盲の中学生が主役。ザッピングしている途中で、思わず手が止まって最後まで見てしまった。音楽の神様が宿っている、そう思いました。
「この曲いいね」ってCDを聞いて、その後すぐにピアノに向かって歌いだすのですよ。楽譜もなくですよ?またそれが、原曲より全然いいんです。普通素人さんがプロの曲をコピーしても、まず超えられないじゃないですか。全然、上ですよ。心に響く、響く。歌とピアノが一体になって彼でしか出せない空気?を作りだしてるのです。彼でしか出せないって言っても、奇をてらった感じとか、アクの強い感じじゃなくて、透明感があるんですよね、誰でもすっと受け入れられるような。
で、どんなジャンルでも違和感なくこなせるし、本人の好みもジャンルで偏ってないんですよね。各地から寄せられる公演依頼の多くはPOPSですが、それ意外にもジャス、民謡、クラシック、洋楽、どれもかっこよかったな〜。あの線の細い体から出るパワフルな声、繊細な声、優しい声、切ない声、使い分けますよ、彼は。
番組は、全盲の彼が、唯一自分の自信であった音楽。変声期を迎えて声が自由に操れなくなったもどかしさの中で、進路決定の時期を迎え、葛藤する彼の様子が描かれていました。一切歌を歌わなくなり、ピアノで作曲することで鬱々とした感情を処理する日々。そんな中、学校で進路指導があり、盲学校の生徒は就職が厳しいという現実を突きつけられて。結局、彼は自分の力で動き出し、仕事としての音楽を選んでいくのですが、決意した瞬間からの彼がたくましかったですね。自分でプロの先生に連絡をとり、バンドを率いて、自分で、嫌いだったクラシックピアノの練習を始めて。
変声期は音楽の神様に試されたんでしょうね。もうこれからずっと音楽の神様は彼に味方してくれるでしょう。木下航志さんというミュージシャンです。近くでライブがあったら足を運んでみたいです。キーワードに登録されているページから彼の歌声が聞けます。